先日、土地の測量に関して専門家と協議する機会がありました。その結果、一般的には不利とされる「土地の面積を小さくする」という決断を下しました。
今回は、なぜそのような一見すると「損」な選択が、結果的に「得」になったのか、その理由を2つのポイントに整理して記録しておきたいと思います。
課題:按分比例で分けると、将来の不利益が発生する可能性
測量の結果、土地を法律に則って按分比例で分割すると、以下の2つの問題点が発生することが判明しました。
- 隣地の建物による「越境」の発生 按分通りに境界線を設定すると、隣地の建物の一部がこちらの土地に侵入する、いわゆる「越境」状態となってしまいます。越境物のある土地は、将来の売買時に敬遠されたり、住宅ローンの審査で不利になったりするケースがあり、資産価値の観点から望ましくありません。
- 境界線が建物を貫通し、不明確になる 境界線が建物の中心付近を通過する案となっており、物理的に境界がどこにあるのか極めて分かりにくい状態でした。これは、将来的な管理や認識のズレによるトラブルを招くリスクをはらんでいます。
解決策:あえて土地を2平米小さくし、問題を根本から断つ
上記の課題を解決するため、私たちは「土地を理想の面積まで広げる」という当初の考えを捨て、「問題の起きない境界線まで土地を狭める」という逆転の発想でアプローチすることにしました。
具体的には、土地の面積を約2平米小さくすることで、
- 隣地建物の越境を完全に解消する
- 境界線を建物の外壁などに沿わせ、誰が見ても明確にする
この2点を実現し、将来にわたる憂いをなくすことを優先しました。
結論:土地の価値は「面積」という量だけでなく「質」で決まる
今回の件で学んだのは、土地の資産価値は、単純な面積(量)だけで決まるものではないということです。
- 権利関係がクリーンであること
- 境界が明確であること
- 将来的な紛争リスクが低いこと
こうした「質」の高さが、不動産の価値を長期的に維持、向上させる上で極めて重要になります。目先の利益にとらわれず、本質的な価値を見極めることの重要性を再認識する、貴重な経験となりました。