こんにちは、日本不動産株式会社の宇野です。
昨今、金融政策の正常化に向けた動きが本格化し、「金利のある世界」が現実のものとなりつつあります。この変化は、私たちの生活や経済に様々な影響を与えますが、特に不動産業界に身を置く者として、その価格動向を注視しています。
本日は、「金利が上昇すると、日本の不動産価格はどうなるのか?」というテーマについて、私の見解をお話ししたいと思います。
結論から申し上げると、私は今後、不動産市場における**「二極化」がこれまで以上に激しくなる**と考えています。
1. なぜ金利が上がると、中古不動産価格は下がるのか?
まず基本原則として、金利が上昇すると、投資家はより高い利回りを不動産に求めるようになります。銀行から借りるローンの金利が上がるため、それを上回る収益性がなければ投資が成り立たないからです。
利回りを高くするためには、家賃を上げるか、物件価格を下げるしかありません。家賃を急に上げるのは難しいため、結果として中古物件には価格下落の圧力がかかります。
2. 新築は「高く」、中古は「安く」なる矛盾
一方で、新築物件はどうでしょうか。金利上昇は、建設会社の借入コストや資材コストの上昇にも繋がります。そのため、新築物件の価格はむしろ高止まりし、利回りは低いままという状況が生まれます。
ここに、一つ目の二極化、すなわち「価格と利回りの二極化」が生じます。
3. 最も影響を受ける「築浅・築中年の物件」
この状況で、私が特に価格下落幅が大きくなると見ているのが、新築でもなく、価格が下がりきった築古でもない、**「耐用年数がまだ残っている、築浅〜築中年の中古物件」**です。
これらの物件は、「高騰する新築」との比較では割安に見えますが、「利回りを求める投資家」からは価格がまだ高いと判断され、買い手が見つかりにくくなります。結果、需給の歪みが生まれ、これまで以上に価格調整を迫られる可能性が高いのです。
4. エリアの二極化もさらに加速する
そして、もう一つの重要な視点が「人口動態」です。 日本全体で人口減少が進む中、不動産の価値は「立地」によってさらに厳しく選別されます。
山間部から平野部に人が集まるのと同じロジックで、不動産においても人が集まり続ける都市部やその周辺エリアはある程度の資産価値が保たれる一方、人口流出が続くエリアの下落は、もはや誰も止められないレベルで進むでしょう。
結論:この変化を、私たちは「チャンス」と捉える
ここまでお話しすると、不動産市場の将来に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たち日本不動産は、この大きな変化を**絶好の「チャンス」**だと捉えています。
なぜなら、私たちの強みは**「中古物件の再生による価値創造」**にあるからです。
価格の下落圧力が強まる市場だからこそ、私たちの専門知識を活かして、本来価値のある優良な中古物件を適正価格で見極めることができます。そして、人が集まるエリアに絞って仕入れた物件に、リノベーションという付加価値を与えることで、市場環境に左右されない高い収益性を生み出す。
これからの時代は、まさに私たちのビジネスモデルが真価を発揮する時代です。 市場の変化を冷静に見極め、本質的な価値を持つ不動産を提供し続けること。それが、お客様と私たちの双方にとって、最も確実な戦略だと確信しています。