業務効率化は、当社が常に追求する重要なテーマの一つです。その一環として、私たちは定期的に最新のSaaS(Software as a Service)を評価し、現在のワークフローが最適かどうかを検証しています。
先日、コミュニケーションツールとして世界的に高い評価を得ている「Slack」について、本格的な導入検討を行いました。Slackはその強力な連携機能、カスタマイズ性、そして「ワークフロービルダー」に代表される業務自動化機能において、非常に優れたツールであることは間違いありません。
しかし、慎重な分析の結果、当社は「現時点でのSlack導入は見送る」という戦略的判断を下しました。本日は、その理由と背景にある当社のツール戦略についてご報告いたします。
1. 現状のGoogle Workspace環境の優位性
当社は現在、社内コミュニケーションの基盤として「Google Chat」を、そしてファイル管理、スケジュール、ドキュメント作成のすべてを「Google Workspace」に集約しています。
Google Chatの導入理由は、他のGoogleサービス(ドライブ、カレンダー、Meet、ToDoリスト)とのシームレスな連携にあります。チャットから直接タスクを割り当て、スプレッドシートを共同編集し、シームレスにビデオ会議へ移行できる現在の環境は、すでに高度に最適化されています。
2. Slackの強みと、当社のニーズの比較
Slackの導入を検討する上で、特に魅力的に映ったのは以下の点でした。
- 外部SaaSとの豊富な連携(App)
- 非エンジニアでも自動化が組める「ワークフロービルダー」
- 「ハドルミーティング」による手軽な音声コミュニケーション
これらを当社の現状と照らし合わせた結果、以下の結論に至りました。
① 連携について 当社は「情報のサイロ化」を防ぎ、管理コストを最適化するため、可能な限り利用するSaaSをGoogle Workspaceエコシステム内に集約する方針をとっています。そのため、Slackの強みである「多種多様な外部SaaSとの連携」は、当社の現状のニーズとは合致しませんでした。
② 自動化について Slackの「ワークフロービルダー」は、日報の収集や簡単な申請承認など、定型業務の自動化に優れています。 一方で、当社は「Google Apps Script (GAS)」と最新のAI(Gemini)を活用し、より深く、自社の業務に特化した「かゆいところに手が届く」自動化をすでに実現しています。 定型的な自動化であればGASで十分対応可能であり、それ以上に複雑な処理も(プログラミングコードを介在させることで)柔軟に対応できる現在の体制の方が、費用対効果が高いと判断しました。
③ コミュニケーションについて Slackの「ハドルミーティング」は、テキストでは伝わりにくい内容を即座に音声で補完できる優れた機能です。 しかし、当社では(特にテレワークメンバーとは)Google Meetを勤務時間中、常時接続に近い状態で活用しており、すでに「いつでも声をかければ即座に会話が開始できる」環境が確立されています。そのため、ハドルミーティングの機能は既存のワークフローと重複すると判断しました。
結論
Slackが非常に優れたツールであることに疑いはありません。 しかし、当社の「Googleエコシステムへの戦略的集中」と、「GASとAIによる柔軟な自社カスタマイズ」という現状を鑑みたとき、新たなツールを導入するコストや学習負荷、ツールの分散といったデメリットが、導入メリットを上回ると判断いたしました。
私たちは今後も、半期や一年に一度は市場の動向を冷静に評価し、その時点で最も合理的かつ効率的なIT戦略を選択し続けてまいります。