Monthly Archives: 8月 2025

8月31日 日報 想定の3倍速、品質95点。スタッフがAIと叩き出した「嬉しい誤算」に学ぶ、新時代の働き方。

こんにちは、日本不動産株式会社の宇野です。

経営者として、スタッフの成長を目の当たりにする瞬間ほど嬉しいことはありません。そして先日、私の想像を遥かに超える「嬉しい誤算」がありました。今日はそのお話をしたいと思います。

事の発端は、あるスタッフに「マンスリーマンション事業の新しい集計表を作成してほしい」と依頼したことでした。彼女は決してExcelの専門家ではありません。そのため、私の中では「期間は1〜2週間、アウトプットの品質は、まず叩き台として30点くらいのものができれば上出来だろう」と想定していました。

ところが、です。 指示からわずか3日後、「できました」と提出されたシートを見て、私は心底驚きました。

シートは完璧に構造化され、私が想像していた以上に複雑な関数が的確に組まれていました。私が100点満点で求めていたものを軽々と超え、95点と言っても過言ではないクオリティのものが、そこに完成していたのです。

なぜ、これが可能になったのか?

もちろん、彼女自身の努力と能力の賜物です。しかし、この驚異的なスピードとクオリティの背景には、現代ならではの要因がありました。それは、生成AIを駆使して、必要な知識をリアルタイムで引き出し、作業を進めていたことでした。

「この集計をするには、どんな関数がいいですか?」 「こういう表を作りたいのですが、手順を教えてください」

彼女は、AIという「超優秀な専門家」を隣に座らせ、壁打ちを繰り返しながら、たった3日で完璧な成果物を創り上げてみせたのです。

マネジメントの役割が変わる

この一件を通して、私は経営者として二つの重要な気づきを得ました。

一つは、これからのマネジメントで最も重要になるのは「指示の質」であるということ。 今回、「どういう目的で、何が見たいのか」というゴール設定を明確に伝えたことで、彼女はAIの力を最大限に引き出すことができました。マイクロマネジメントは不要になり、いかに的確で質の高い「問い」を立てられるかが、チームの生産性を左右します。

もう一つは、個人の能力評価の軸が変わるということです。 「Excelの関数を知っているか」という知識そのものではなく、「ツールを使いこなし、いかにしてゴールに辿り着けるか」という課題解決能力こそが、価値を生む時代になったのです。

私自身のアップデート宣言

先日、このブログで私は「AIは50点のたたき台を最速で出すツールだ」と書きました。しかし、今回の件でその認識を改める必要がありそうです。「質の高い指示」と組み合わせれば、初心者であってもAIは90点以上の成果を出すことを可能にする、と。

スタッフの素晴らしい成長と、AIがもたらす時代の変化のスピードに、正直、少しの焦りすら感じています。 しかし、それ以上にワクワクしている自分もいます。

私もこの進化に負けないよう、自身のスキルと考え方を常にアップデートし続けていくことを、ここに改めて宣言します。

8月13日 日報 私が毎日3時間AIと対話し続けて気づいた「生成AIの限界と、本当の価値」

こんにちは、日本不動産株式会社の宇野です。

ここ最近、私は業務時間の一部を使い、毎日3時間以上、生成AIとの対話に費やすという実験を続けています。経営の壁打ち、資料作成の補助、新しい企画のアイデア出しなど、あらゆる場面でAIを酷使してきました。

その結果、世間で言われる「AIは万能か?」「仕事は奪われるのか?」という問いに対して、私なりの結論が見えてきました。

先に結論から申し上げると、現時点での生成AIは**「自分で作れば100点になるアウトプットを、50点のレベルまで“最速”で生み出してくれるツール」**だと感じています。70点にも届かないかもしれません。

AIは「期待」を超えてこない

まず、最も大きな気づきは、AIは「期待値以上の回答」は出してこないということです。対話していて、「あ、それは気づかなかった!」「そんな視点があったか!」と膝を打つような、こちらの思考の枠を超える発見は、残念ながら一度もありませんでした。

同様に、完全にゼロベースから突拍子もないビジネスアイデアを生み出すような、いわゆる「0→1」の創造性も期待できません。

AIが圧倒的に得意なこと

一方で、AIが人間を凌駕する領域も明確になりました。それは**「思考の整理」と「作業の高速化」**です。

自分の中である程度の答えや方向性が見えているテーマについて、「これを分かりやすくまとめて」と指示すれば、驚くべき速さで構造化し、文章として整理してくれます。漠然とした思考が、瞬時に輪郭を持つ感覚です。

また、データ分析やリサーチなど、時間をかければ人間でもできる定型的な作業のスピードは圧巻の一言です。

経営者はAIをどう使うべきか?

では、この「50点を最速で出すツール」を、経営者はどう使いこなすべきか。 私は、AIを**「思考の時間を短縮し、より高度な判断に集中するためのブースター」**として活用すべきだと考えています。

AIが出してきた50点のたたき台。これは、私たちがゼロから資料を作ったり、考えをまとめたりするのに費やしていた膨大な時間を代替してくれます。 私たちの仕事は、その50点のたたき台を、自身の経験と知見、そして経営者としての哲学やビジョンをもって、70点、90点、そして100点に磨き上げていくことです。

AIにはできない、事業の根幹に関わる意思決定、お客様の感情を想像したサービス設計、そして最終的なアウトプットに対する全責任を負うこと。ここにこそ、人間の、そして経営者の価値が残ります。

今後、AIの能力が向上すれば、この考え方も変わるかもしれません。 しかし現状では、AIは魔法の杖ではなく、あくまで「超優秀なアシスタント」です。このアシスタントをいかに使いこなし、自分自身の思考と判断を深める時間を作り出せるか。それが、これからの経営者に問われる新たな能力なのだと確信しています。