Monthly Archives: 7月 2025

7月29日日報 札幌ドームに学ぶ経営戦略

こんにちは、日本不動産株式会社の宇野です。

先日、札幌ドームの決算が発表され話題となりました。日本ハムファイターズという年間を通じて収益をもたらす「巨大なリピート顧客」を失った影響は甚大でしたが、ネーミングライツという大きなスポット収益やイベント開催で、数字上は黒字を確保したとのこと。

しかし、経営者の視点で見るべきは、来期以降の姿です。ネーミングライツのような一過性の売上がなくなった時、本当の収益力が問われることになります。

このニュースに触れ、私は前職時代の経験を思い出していました。

売上の7割が「計算できる」状態からスタートする強み

前職で私が勤務していた会社は、年間売上が約500億円規模でしたが、そのうちの6〜7割、つまり300億〜350億円は、毎年必ず購入してくれるリピートのお客様で構成されていました。

これはつまり、期が始まる時点で、売上の大半がある程度「見えている」状態からスタートできるということです。私たちのミッションは、「残りの150億〜200億円の売上を、いかにして上乗せしていくか」という、未来志向の戦略にフォーカスすることができました。この安定した基盤があったからこそ、思い切った挑戦も可能だったのです。

この経験から、私は「安定している企業とは、売上の半分程度は計算できる収益で組み立てられている企業だ」という持論を持っています。

「ストック型収益」と「フロー型収益」

これを経営用語に置き換えると、事業の収益は2種類に分けられます。

  • ストック型収益(積み上げ式): 賃貸収入や管理料、サブスクリプションなど、継続的に安定して入ってくる収益。一度契約すれば、解約されない限り計算できる売上です。
  • フロー型収益(都度発生式): 不動産売買や仲介、単発のイベントなど、一度きりの取引で発生する収益。収益性は高い場合もありますが、継続性はなく、見込みが立てにくいのが特徴です。

札幌ドームの例で言えば、ファイターズは「ストック型」、ネーミングライツや単発コンサートは「フロー型」と言えるでしょう。

我が社の現在地と、今後の戦略

翻って、私たち日本不動産の事業ポートフォリオを見てみると、面白いことに気づきます。

  • ストック型: 不動産賃貸業(自社保有物件からの家賃収入)
  • フロー型: 宿泊業、マンスリーマンション事業、不動産買取再販

現状、この2つの収益のバランスが、ちょうど半々くらいになっています。これは、事業の「安定性」と「成長性」を両立させる上で、非常に健全な状態だと自己評価しています。

今期は、宿泊業やマンスリーマンション事業という「フロー型」の売上が大きく伸びることが予想されます。これは会社が成長フェーズにある証拠であり、喜ばしいことです。

しかし、だからこそ、私は立ち止まって考えます。 フロー(成長)のアクセルを踏む時こそ、ストック(安定)の土台を固めることが何よりも重要だ、と。

好調な時だからこそ、来期以降を見据え、収益の基盤となる不動産賃貸業の強化にも、今まで以上にしっかりと取り組んでいく所存です。成長と安定、この両輪をバランス良く回し続けることこそが、持続可能な企業への唯一の道だと信じています。

7月18日日報 金利上昇で不動産価格はどうなる?これから起きる「二極化」の本質と、私達の戦略。

こんにちは、日本不動産株式会社の宇野です。

昨今、金融政策の正常化に向けた動きが本格化し、「金利のある世界」が現実のものとなりつつあります。この変化は、私たちの生活や経済に様々な影響を与えますが、特に不動産業界に身を置く者として、その価格動向を注視しています。

本日は、「金利が上昇すると、日本の不動産価格はどうなるのか?」というテーマについて、私の見解をお話ししたいと思います。

結論から申し上げると、私は今後、不動産市場における**「二極化」がこれまで以上に激しくなる**と考えています。

1. なぜ金利が上がると、中古不動産価格は下がるのか?

まず基本原則として、金利が上昇すると、投資家はより高い利回りを不動産に求めるようになります。銀行から借りるローンの金利が上がるため、それを上回る収益性がなければ投資が成り立たないからです。

利回りを高くするためには、家賃を上げるか、物件価格を下げるしかありません。家賃を急に上げるのは難しいため、結果として中古物件には価格下落の圧力がかかります。

2. 新築は「高く」、中古は「安く」なる矛盾

一方で、新築物件はどうでしょうか。金利上昇は、建設会社の借入コストや資材コストの上昇にも繋がります。そのため、新築物件の価格はむしろ高止まりし、利回りは低いままという状況が生まれます。

ここに、一つ目の二極化、すなわち「価格と利回りの二極化」が生じます。

3. 最も影響を受ける「築浅・築中年の物件」

この状況で、私が特に価格下落幅が大きくなると見ているのが、新築でもなく、価格が下がりきった築古でもない、**「耐用年数がまだ残っている、築浅〜築中年の中古物件」**です。

これらの物件は、「高騰する新築」との比較では割安に見えますが、「利回りを求める投資家」からは価格がまだ高いと判断され、買い手が見つかりにくくなります。結果、需給の歪みが生まれ、これまで以上に価格調整を迫られる可能性が高いのです。

4. エリアの二極化もさらに加速する

そして、もう一つの重要な視点が「人口動態」です。 日本全体で人口減少が進む中、不動産の価値は「立地」によってさらに厳しく選別されます。

山間部から平野部に人が集まるのと同じロジックで、不動産においても人が集まり続ける都市部やその周辺エリアはある程度の資産価値が保たれる一方、人口流出が続くエリアの下落は、もはや誰も止められないレベルで進むでしょう。

結論:この変化を、私たちは「チャンス」と捉える

ここまでお話しすると、不動産市場の将来に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たち日本不動産は、この大きな変化を**絶好の「チャンス」**だと捉えています。

なぜなら、私たちの強みは**「中古物件の再生による価値創造」**にあるからです。

価格の下落圧力が強まる市場だからこそ、私たちの専門知識を活かして、本来価値のある優良な中古物件を適正価格で見極めることができます。そして、人が集まるエリアに絞って仕入れた物件に、リノベーションという付加価値を与えることで、市場環境に左右されない高い収益性を生み出す。

これからの時代は、まさに私たちのビジネスモデルが真価を発揮する時代です。 市場の変化を冷静に見極め、本質的な価値を持つ不動産を提供し続けること。それが、お客様と私たちの双方にとって、最も確実な戦略だと確信しています。

7月2日日報 やらない理由はない。ふるさと納税への挑戦

本日、ふるさと納税サイト「ふるなび」のご担当者様と、とお話する機会がありました。

ご提案いただいたのは、箱根町へのふるさと納税の返礼品として、当社の宿泊施設(A-frame箱根強羅、和箱根強羅)をご利用いただけるようにするという、非常に興味深い取り組みです。

もちろん、新しい取り組みには多角的な検討が不可欠です。そこで早速、経営的な観点から今回の「ふるさと納税連携」というご提案がもたらす戦略的価値について冷静に分析してみました。

【メリット】

  1. 新規顧客層の開拓: ふるさと納税に関心を持つ、納税意識や可処分所得が比較的高い層へアプローチできます。これは、まだ当社をご存じない新たな顧客層に、私たちの施設の魅力を知っていただく絶好の機会です。
  2. 集客チャネルの多様化: 現在の宿泊事業の集客はOTA(Online Travel Agent)が中心です。ふるさと納税という新たなチャネルを加えることで、特定プラットフォームへの依存度を下げ、マーケティング上のリスクを効果的に分散できます。
  3. 地域貢献によるブランド価値向上: 当社の企業理念は「『住』と『旅』を通じて、人々の幸福と地域社会の発展に貢献する」ことです。この取り組みは、箱根という地域に人を呼び、納税を通じて直接的に地域へ貢献する活動であり、まさに理念を具現化するものです。

【懸念点】

  1. オペレーションの複雑化: 新たな予約管理や、ふるさと納税特有の精算フローを構築する必要があります。現在のリソースで対応するための仕組みづくりが課題となります。

【結論】

上記のメリットと懸念点を天秤にかけた結果、懸念点は社内のオペレーションを標準化・効率化していくことで十分カバー可能であり、それ以上に享受できる戦略的メリットが圧倒的に大きいと判断いたしました。

特に、今後の当社の成長ドライバーと位置付ける「宿泊事業」の展開を加速させる上で、極めて有効な一手になると確信しています。

このお話は前向きに推進させていただく所存です。まだ検討段階ではございますが、企業の成長に繋がる挑戦を続けてまいります。 進捗があり次第、またこちらでご報告させていただきます。